夕方の散歩道で、プラスチックの匂いが風に運ばれてきた。それはまるで、古い紙のうたかたが空に浮かぶようだった。ぼくはそれを、まるで誰かが泣きながら折りたたんだ手紙のように感じた。
その匂いが家に届いたとき、ドアの隙間から、ある音が聞こえた。小さなベルが、ふわりと回って、消えた。それは、ぼくが見なかった場所で、誰かが物を返しているように思えた。
窓の外に立つと、空は青く、でも、その青は、まるで水の上に浮かんだ風船のように、ゆらめいていた。風に吹かれて、匂いが動いた。それは、ぼくの記憶の奥で、誰かが笑っていた日の匂いと重なった。
夜が近づくと、その匂いが、ぼくの鼻にふわりと触れた。それには、まだ誰も気づいていない、新しい言葉が混ざっていた。ぼくは、それを「もう一度」だと感じた。